最近よく「相続(争族)対策」といったワードを目にしたり、聞いたりすることが増えていないでしょうか?
そもそも「相続(争族)対策」は、相続が実際に起こった時に残された家族がトラブルに合わないようにする為の準備のことです。
では、そのトラブルとは何でしょうか?
相続が起こった時に一番トラブルになるのが、遺産分割です。
近年この遺産分割が原因で家庭裁判所への遺産分割調停の案件が増加しています。
これらの案件は財産の大小に関わらず、相続税が課税されない範囲でも調停となるケースが増えてきています。
こういった世の流れの中、財産はほとんどないし、我が家は家族の仲がいいから、相続(争族)対策なんて気にしなくて大丈夫だろうと安心していないでしょうか。
しかし、相続が起きた時には、すでに子供が結婚し、子供の婿や嫁といった第三者となる人物がいるかも知れません。財産がわずかだとしても、財産を取り合って家族が争うとしたら・・・。
自分が死んだ後に家族が争うなんて、正直考えたくもない気持ちも分かります。でも、財産を取り合い家族がケンカをして、以前のような仲の良い家族に戻れなかったら、とても悲しいことです。家族がいつまでも仲良くいられるように自分自身で相続(争族)対策を行うのは重大な役目といえます。
J社長は建設会社を経営しており、その株式をすべて保有しています。
会社は長男が引き継ぐ予定ですが、自分の相続に関して具体的に決まっていることは他にはありませんでした。家族構成は奥様、長男及び長女です。
J社長にヒアリングしたところ、主な財産は以下の通りでした。
相続(争族)対策は、①財産をリストアップすること②財産をどう分割するかを決めること③決めたことを家族に伝えることの3つが大きな流れです。
自分の財産を誰にあげようと決めただけでは、相続(争族)対策にはなりません。
いざ遺産を分割する時に残された家族が自分の決めたどおりに財産を譲り合い、もめないようにしなければいけません。
その為には、事前に家族会議をして、自分がどうしたいのかという意思を家族に伝えるとともに家族自身にも納得をしてもうらようにしておく必要があります。
J社長は我々と話をしていく過程で相続の課題について頭の中を整理できたようです。
自社株式については長男が生前にある程度まで取得できるように対策することにしました。自宅土地建物については、一次相続は奥様が相続することで問題がないので二次相続で小規模宅地の特例が使えるように二世帯住宅への切り替えも検討することになりました。現預金、退職金、生命保険については相続人間の調整機能として活用するようにしました。
今後はこの基本方針をベースに遺言書の作成をしていく予定です。J社長は少しだけホッとした様子でした。
2015年1月から相続税が増税となります。
具体的には最高税率が50%から55%へ上昇し、基礎控除も「5000万円+1000万円×法定相続人数」から「3000万円+600万円×法定相続人数」に下がるため、相続税の課税対象者は拡大することになります。
たとえば父が死亡して、母親、長男、長女が相続人だとすると、現行法では相続財産が8000万円までであれば相続税はかかりませんが、2015年1月からは4800万円を超えると相続税がかかります。都心で土地建物の売り物件情報をみると、5000万円を超える物件はざらにあります。もちろん相続税の評価額とチラシの物件の価額は一致しませんが、目安にはなります。「都心の家持ち」は相続税対策を本気でやらなくてはならい時代がもうすぐそこに来ているのです。
相続税の課税割合(課税件数/死亡者数)はここ数年4%前後を推移しています。つまり100人に4人しか相続税が課税されていないことになります。
しかし、2015年1月以降はこの数値が6%に上昇すると財務省は予想しています。ただし、これは全国平均の数値であり、「都心の家持ち」の場合は10人に1人という試算もあります。
また、「都心で家持ち」ではあるが、現金がほとんどないという家族は最も気を付けなければなりません。相続税が納税できないというケースも予想できますが、それよりも不動産は財産として分けにくい性質があるから相続人の間でもめるケース(いわゆる争族)が多いのです。
相続税が納税できない、仲の良い家族がもめる争族にはしたくないと考えている人は多いと思います。そうならないためにも、一度弊社にご気楽にご相談ください。